日本人は知っているジャズと本物のジャズは全く違うものかもしれません。管理されすぎた日本人の音楽感に縛り付けられるうちは、習得は難しいかもしれません。

しかし、サックスを練習していても演奏ばかりではなく、その特徴を理解してみると、音楽がさらに楽しいものとなりますよ。

その古典的ジャズの特徴をここで見ていきます。

即興演奏

ニューオーリンズで始まった古典的なジャズの特徴は、即興演奏にある、と主張する人がいます。

コレクティブ・インプロビゼーションと呼ばれるもので、クラシックにおける対位法と似ていると指摘する人がいます。

といっても、すべて自由自在に即興で演奏するわけではなく、実態はかなり固定された演奏です。

その即興演奏の特徴は、ブレイクとリズムの変化、縦横無尽な音の構成が一体となっているのが特徴。これにより、迫力のある演奏が可能になります。

クラシックにおける対位法は独立した連続する複数のパートのインタープレイを意味するものですが、ニューオーリンズの古典的ジャズにおける即興演奏とはかなりイメージが違います。

トランペット・トロンボーン・クラリネットがそれぞれのメロディを担当し、ベースラインがアルペジオで伴奏し、交代で演奏するといった感じです。または、各パートが音を重ねてハーモニーを作り出すといった感じです。

テクニック面においても、1920年あたりのジャズの黄金時代にはほとんど完成したといわれています。

録音機器の特徴

この時代におけるレコードの存在も見逃せません。この時代より前には録音をする機材がありませんでした。

そのため、伝説的なジャズプレーヤーがいたとしても、それは話してしか聞くことができず、音を聞くことはできません。レコードの登場があればこそルイアームストロングなどの天才的プレーヤーの音声を聴くことができるのです。

ルイ・アームストロングは伝説的な最高のジャズプレーヤーでしたが、自分の音楽について「楽器を通じて歌っている」と話していました。

そのことを踏まえてレコードを聴くと正しいものであることがわかります。結局、自分の耳に入ってくる音を歌っていて、自分が歌っているもの吹いているということになります。演奏しているという感覚を持っていなかったのです。

1920年代のジャズの音楽には、荒っぽくて粗野なところがあります。その特徴はスウィングにあります。この時代の音楽より前はスイングという概念がなかったのです。

ピアノ・ドラム・バンジョーやペースなどの楽器では単独でのスウィングは使用されない、とされてきました。

というのも、これらの楽器は、その単位で特定の効果を引き出し、特定の感情を引き起こすことに目的があったからです。無安定したリズムの繰り返しにより催眠効果を狙っているのです。

しかし、この時代のジャズはこのピートや安定したものとして使っていないのです。スウィングのリズムは2ビートから4ビートの複合されたものってあると指摘されてはいますが、はっきりとした2ビート・4ビートではないのです。

その不安定なビートが弾みと軽快さを音楽に与えているのです。その時代のジャズミュージシャンはテンポにおける感覚が非常に卓越していました。現代の音楽に比べてゆっくりとしたものに感じられます。

まだ効果的にブレイクが使われています。ブレイクとは急にソロパートが始まることですが、周りのリズム系楽器は長い時間何もしないで待たされることになります。伴奏なしのソロパートは貧弱になりそうにもかかわらず、迫力は全く失われていません。

ブレイク後にリズムセクションの音楽が再開されて、さらに迫力を増幅させることができます。

ジャズ黄金期を参考に

1920年代のジャズ黄金期には学ぶものがあります。リズム感やブレイクの効果的な使い方はもちろん、伝説的なプレーヤーであるルイ・アームストロングは音楽を演奏するのではなく、歌っていると表現しています。

この時代のレコードを集中して聴くと耳がよくなるともいわれていますので、サックス演奏の参考に研究してみてはいかがでしょうか。

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