サックスといえばジャズを思い浮かべる人も多いです、そのジャズが、どのようにして流行してきたのかを考えることは歴史を考える上でも重要です。

黒人音楽として生まれたにもかかわらず、ヨーロッパで一時的な流行を見せることもありました。

ジャズビートについて

ジャズビートとは、ベースやドラムスなどのリズムを担当する楽器が演奏する部分のことをいいます。ジャズの中で、このリズムパートが生み出されました。

その源流をはっきりと確認することはできませんが、シンコペーションという技法がその源流としてあるのではないか、という推測がされています。

シンコペーションとは、強い拍と弱い拍の位置を通常と変え、リズムに変化を与える音楽技法のことです。

シンコペーションはラッパのリズムを取るときに使われるものですが、曲全体に勢いや元気を与えるものとして使われます。

多彩なビート

また、ジャズはアクセントが特徴的で、通常とははずれたところに強い拍をつけるオフビートが多用されるのも特徴です。

ビートを先取りしてリズムを早める技法も使われています。黒人はビートを細分化し、アクセントをつけることを多様化していたので、さまざまなリズムが存在していました。

ちなみにジャズビートに意味のない言葉を当てて歌うと、スキャットといわれる歌い方になります。

ジャズとスキャットではメロディーは関係なく、アクセントと抑揚の多様性が共通しています。

1895年から1920年代

これがジャズであると原型を整えるために最も大きな影響をおよぼしたのが軍隊音楽です。

1895年から1920年代が重要な時期と言われています。この年代に偉大なジャズプレーヤーが多数現れた時代と言われています。

この時代に出てきたジャズプレーヤーには、クラシックの知識があることが指摘されています。その理由として、これらの時代のジャズプレーヤーは、ショパンやリストの曲を簡素化したものを使ったり、オクターブやアルペジオを曲中に導入した形跡が見られたからです。

ジャズは、クラシック音楽の影響を多大に受けてると指摘されることがありますが、マーチ音楽の影響を強く受けているともいわれています。

クラシックだろうがマーチだろうが、ヨーロッパ音楽の影響を強く受けていることが推測することができます。

その中でもシンコペーションは最も使われる技法であり、強いビートを置き換えることが特徴でした。

アメリカの黒人音楽であるジャズはヨーロッパでも広まりました。今まで聴いたことのない強いビートを中心とした音楽に、新しい物好きな大衆が飛びつきました。

ジャズとヨーロッパ

ジャズの登場は、ヨーロッパのクラシック音楽にも強い影響を与えましたが、イギリスではそれほど影響は与えられなかったといわれています。というのも、まだまだジャズは新しい音楽であり、クラシック音楽がジャズを受け入れる器量がイギリスにはなかったのです。

ビートの強い音楽はジャズバンド形式なら演奏することはできますが、オーケストラでは強いビートの音楽は演奏するのはまず無理です。ジャズが現れても、クラシックのほうが拒絶反応を起こして、ジャズの人気はそれほど続くことはありませんでした。

ヨーロッパに輸入されたジャズは単なる一過性のブームに過ぎず、ジャズの本質や根本的に理解されることはありませんでした。

ジャズが急激に流行した理由として、アメリカのニューオーリンズ周辺では、軍隊音楽を基礎にしてブルースが、常に、そこら中で歌われていた背景があります。ジャズを受け入れる土壌はすでにできていたので、ジャズの本質や特徴を見失うことがなく根づいたのです。

一方で、クラシックは上流階級の音楽であり、ブルースや軍隊音楽の素養のないヨーロッパの上流階級には、完全に受け入れることができなかったといわれています。

一時的な流行に止まったわけ

強いビートを特徴とするジャズは、クラシック全盛のヨーロッパでは一時的な流行がみられました。でも、まだまだクラシックの歴史と土壌が深く、大衆音楽という概念もまだないので、受け入れられるまでには時間がかかった模様です。

気軽にサックスを手に取れて、さまざまな音楽を聴くことができて、サックス演奏が楽しめるこの現状は、とても幸せなことだといえるでしょう。

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