サックスといえばジャズですが、さらに切り離すことのできないのがブルースという音楽ジャンルです。

ブルースの特徴とは、どのようなものなのでしょうか。サックスを深く知るためにも、ジャズとブルースの関係を押さえておきましょう。

ブルースの特徴

ブルースは、米国南部でアフリカ系アメリカ人の間から発生した音楽です。

19世紀後半ごろに米国深南部で黒人霊歌、フィールドハラー(農作業の際の叫び声)や、ワークソング(労働歌)などから発展しました。

都市部で展開されたブルーススタイルをシティ・ブルースと呼びます。都会にあこがれる反面、故郷への郷愁が詩に影響を与えているのが特徴です。

ジャズが楽器による演奏が主役なのに対して、ブルースはギターを用いた歌が主役です。

戦前のアメリカにおいて、ブルースは米国深南部から各地でスタイルを変えながらセントルイス、シカゴ、ニューヨークなどへ北上しつつ発展しました。

ギターの弾き語りがメインで、都市部に広まるにつれて、ピアノとギターのデュオ形式、バンド形式など、都会的に洗練され変化しています。

シティーブルースとピアノの融合

シティーブルースはクラシックでおなじみのピアノとの融合も果たしました。ピアノという楽器はリズムの速さを変更できない楽器で、リズムを重視する黒人音楽とは相容れないものと思われてきました。

ピアノには、打楽器的な性質があり、ジャズが一般化されるにつれてピアノで伴奏される機会が増えてきました。

売れているJ-POP歌手がオーケストラをバックに歌うといった形が、初期のジャズやブルースでもあったのです。

ピアノの存在は黒人音楽をさらに派手なものにするとともに、アタックにメリハリをきかせるなどの効果をつけることになりました。

ジャズやブルースにピアノが加えられたことによりピアノの技巧はさらに発展することになりました。

そのため、自然とクラシック音楽などのヨーロッパ音楽と黒人音楽が融合することになり、ジャズが発展することになったのです。

日本でのブルース発展

日本でのブルースブームは1970年代になってから。

1971年B.B.キングの来日を皮切りに、1973年にスリーピー・ジョン・エスティス「スリーピー・ジョン・エスティスの伝説」がオリコン・チャートにランクイン。

1974年に「第1回ブルース・フェスティバル」が開催され、エスティス、ロバート・ロックウッド・ジュニア&エイセズ、オーティス・ラッシュらが来日しました。

ウエスト・ロード・ブルース・バンド、憂歌団など、京都、大阪を中心に登場し、日本独自のブルースが発展しました。

ブルースとジャズの融合

ブルースは、ただ何となく流行したわけではありません。

その背景には、ニューオーリンズ州の人々はブルースを小さい時から聞き慣れており、ブルースに対する民衆の信頼が寄せられていたことがあります。

それに加えて、ブルースの歌い手とバンドメンバーの強い計測があったからこそ強いエネルギーを生み出したのです。

バンドメンバー同士が自分の利益ばかりを追求したり、民衆の期待がなければ、ジャズやブルースの発展などあり得なかったのです。

ジャズやブルースの発展は、その土地に強く結びついたものといえ、個人的な自己実現と利益ばかりを追求する日本国内の音楽とは全く異なる土壌があったのです。

サックスを楽しめる環境は貴重

ただ何となく練習しているサックスですが、その起源となっているジャズやブルースをさかのぼると、かなりの歴史があるわけです。

ジャズとブルースの発展がなければ、手元にあるサックスもなかったのかもしれない。音楽演奏で、生計を立てている方も、しかしたらその仕事は存在しなかった。

そんなこともあり得たのです。私たちがサックスを楽しんでいるのも、奇跡的なことなのかもしれません。

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