せっかくサックスを練習するのなら、ジャズという音楽の分類や性質についても知ることが大切です。

ただ単に、人前で演奏できればいいや、では面白くもありませんよね。もっともっと深いところまで理解していきましょう。

ジャズに大きな役割を果たした人種

アメリカでジャズが浸透する大きなきっかけとなった人種がいます。それがクリオーリョです。肌の色は黒人よりも少し薄く、黒人と白人の間に生まれた人種です。

社会的地位は黒人よりも高く、黒人よりもはるかに大きい財と特権を持っていました。

黒人に比べては特権階級となりますが、白人に比べれば劣った扱いとなるために、白人の文化に対する強い欲求がありました。黒人と白人の文化を融合するための橋渡しとなったのです。

音楽面においてもクリオーリョは大きな役割を果たしています。

伝説のトランペット奏者

ボールデンと呼ばれるトランペット奏者がいました。
ジャズという音楽ジャンルを創設した音楽家と言われていて、その役割の重要性はすべてのミュージシャンが認めています。

生まれたのは1868年であり、1907年まで活躍をしました。その後、精神病にかかり、残りの人生は病院内で過ごすことに。

自由奔放に人生を謳歌する典型的な天才であり、添付の才能があったために、それをまねするものが続出しました。この天才性を白人がまねすることがよくありましたが、まねをしているだけで実力が全く伴わないものでした。

ボールの音と演奏スタイルは、その後のジャズスタイルを決定づけたものとさえ言われています。演奏する音の大きさがとてつもなく大きく、子供たちに向かってブルースを鳴らしまくっていたそう。

天才に憧れて、むやみやたらに拭きまくるのをマネして、吹きすぎて死んでしまった人もいるくらいです。

耳コピ&即興

ジャズの出来上がった時代には録音機材がありませんでした。そのため、聴いた音楽を耳でコピーして演奏するほかありません。

また黒人という立場上、特権階級ではなく、音楽教育を受けられるわけもなく、楽譜も読むことができません。伝統的に低い立場に置かれていたために、楽譜を見て演奏するのではなく、自分の好みの装飾を加えて演奏する機会が増えました。これがジャズにおける即興性の始まりです。

即興というのは、前もって準備するのではなく、その場の雰囲気に応じて演奏をするということ。

ジャズにおいてはこの即興性が重要なものだとされています。サックスを練習するなら、譜面通りに演奏できるだけではなく、即興で好きな音を演奏しなければならないのです。

マニュアル思考で、形式的な面を重視しすぎる日本人にはつらいものがあるかもしれません。

細部まで徹底して音楽を作り上げるクラシックとは全く異質です。黒人音楽は楽譜を一切使わない状態で曲を作り、それを暗記しておいて即興で演奏するという流れになっています。

そして演奏者がリズムを変えたり、細かい装飾をつけてアレンジします。それに加え、ブルースの音楽テクニックが加わり、ハーモニーを分散するアルペジオなども加わり、厳しい規則に従う必要はなかった音楽なのです。

ジャズではこのような加工が許されているために、他人の作った楽曲も装飾次第で別のものに変わってしまいます。他人のものを自分のものに勝手に変えることが可能な音楽なのです。

オーケストラに入れてもらえない

サックスはジャズでよく用いられる楽器の一つですがオーケストラに入れてもらえない、という話があります。

それは上述したように、あまりにも自由度が高く、クラシックのような厳格な規則に従わない楽器であることから、相性が悪く、オーケストラに入れないのです。

むしろ部活動の吹奏楽などでサックスが使われることのほうが、かなり異常なことだといえるでしょう。個人的要素が強すぎるのです。

日本人には相性が悪いか

サックスの使われるジャズには、このような背景があることを知りましょう。そしてサックスを練習するのなら、即興的な演奏も身につける必要があります。

ジャズでは学の通りに演奏するという考え方が実はなく、耳でコピーしたことを自分なりに勝手にアレンジするといった音楽ジャンルであるといえるでしょう。

自由にやりなさい、と言われると何をやったらいいのかわからないという日本人には、この自由度の高さや演奏者の裁量の大きさは負担になるかもしれません。本当の意味で身につけるのは難しそうです。

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