ジャズで最も重要な要素といえるのが表現力。西洋に代表されるクラシックと、根本的に音楽の質が異なります。

ジャズの表現力の根元をなす表現力を、サックスの学習のために、黒人音楽の概要とともにみていきましょう。

表現力がジャズの命

表現力はジャズやブルースにおいてとても大切な要素です。その特徴は、荒っぽく、調子が外れているように聞こえることがあります。発音・フレージングも間違っているように聞こえることもあります。

しかし、注意して聞いてみるとそれが絶妙にコントロールされていることがわかります。うめき声や叫びに至るまで、声の使い分けが見事にコントロールされているのです。

演奏者のその時の感情によって、そのスタイルが変わってくるのも特徴です。アドリブが基本的な態度だといってもいいでしょう。歌詞も即興で作られることがあり、黒人特有の抑揚のある話し方によって、さらにこの特徴は増幅されます。

その根底にあるの西アフリカの音楽です。西アフリカでは声のピッチ自体が意味を表しているので、それがジャズやブルースにも伝わっているのです。

ジャズやブルースは基本的に単純で反復の多い構造になっています。しかし、本人の感情や表現力・独創性を組み合わさると、全く別の音楽のに聞こえてしまうのを前提として考えているからでしょう。

地域によって異なるジャズの質

そのジャズは大まかに分類すると三つの地域に分けられると言われています。

  • ミシシッピ・デルタ地帯
  • テキサス
  • 東海岸

この三つの地域で大きく、ジャズの特徴がわかれてくるともいわれています。しかし、この三つの地域に分類しただけですべてがきれいに分かれるものではありません。大まかに分けられるといった具合の分類です。

テキサス東部のスタイルはフルコードでなく単音です。デルタ・ミシシッピスタイルは、重厚で強い不協和音が特徴です。旋法的であり、和声的であるのが特徴です。

白人音楽の影響

ジャズには黒人音楽と白人音楽の融合というものがあります。白人音楽は基本的にはクラシックが代表的です。正確にコード伴奏を行うのが特徴です。

黒人もこの白人の影響を受けてコード伴奏をするようになりました。しかし、ここに衝突が起こります。もともと黒人のジャズやブルースは、独創的で、型にはまったものを最も嫌います。

そのため表現力やアドリブが重視されているのです。コード伴奏の形式的に行うことによって、相容れないものが入ってきてしまったわけです。

これもいろいろな形で解決されることとなりました。不協和音を不協和音として記録されて、間違った音と扱われているのは、ドミナントセブンスコードの一部となることができました。デルタスタイルはこのような影響を最も大きく受けています。

ギターにおいてはブルーノートという演奏法があります。弦を押さえたまま横にずらしてピッチを変えて、その音が得られるというもの。デルタスタイルはこのブルーノートを多用します。

その他にもボトルネックという演奏方法があります。ギターで持続した低音を出すために、瓶の口でギターの弦を押さえる方法です。横に沿って滑らして人間の港に近い音を出す方法です。

一般的にギターは指で弦をはじくものですが、人間の声に近づけたいがために瓶の口を使ったというわけです。

白人の音楽と全く違うのはわかります。白人は正確にコード進行を行うことを理想としていますが、黒人は、人間的な表現力を、楽器を使って行うことを重視しているのです。

黒人音楽を参考にして

黒人音楽の影響は今でもちゃんと伝統的に残っています。さまざまなサックスの楽曲でも、この影響が見られます。しかし、日本人のサックス奏者ではこのような演奏を再現することはまずできないでしょう。

というわけで、サックスの参考にしたいのなら黒人の演奏者を注目してみるといいでしょう。日本人のサックス奏者では、まだまだこのような文化を現実化できません。

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