サックスとジャズとは切り離す関係にありませんが、一体、ジャズとは一体何なのでしょうか。

ジャズは、地理的に言うとアメリカのニューオーリンズ州周辺で始まった音楽であり、都会を中心にして作られたアメリカの黒人音楽と定義できるでしょう。

19世紀の後半くらいから始まりました。

黒人音楽の伝統とヨーロッパの音楽が融合

ジャズ成立の背景には、黒人音楽の伝統に加えて、ヨーロッパ音楽と軍隊音楽、ピアノを中心とした音楽が組み合わさってできたもの、と推測されています。

19世紀後半というと、世界中で戦争が繰り広げられていた時代であり、軍隊音楽とジャズとの結びつきは非常に大きいものといえます。

ブラスバンド形式

音楽を演奏するブラスバンドの存在も黒人に支えられたといってもいいでしょう。日常のいろいろな場面で音楽が必要とされました。

特に葬式の際などに、ブラスバンドは悲しげな音楽を演奏するのに重宝されていました。

死者の魂を天国に送り出すといった時の悲しい音色でおなじみの「聖者の行進」という音楽が有名です。

ブラスバンド形式はその特徴は屋外による演奏であり、音が大きく、大衆に向けた音楽としても非常に有効なものでした。大きな音を出して聴衆に訴えかけるため、催し物の時には必要とされてきました。

ヨーロッパの音楽の中心は、弦楽器であり、金管楽器はそれほど音楽の場合では中心的存在ではなく、弦楽器を際立たせるためのサポート的な役割に過ぎませんでした。

対照的にアメリカでは金管楽器が中心として音楽が発達していきました。

打楽器よる音の大きさ

軍隊音楽ではドラムが使われる機会が非常に多いです。ドラムは打楽器であり、精神を高揚させる効果があります。そして、その中心になるのはリズムであり、アフリカ音楽や黒人音楽と非常に結びつきが強いのです。

打楽器は音が大きく、大音量の音楽の源流ともなりました。

バイオリンなどを中心とした弦楽器をこよなく愛してきたヨーロッパ人にとっては、打楽器や金管楽器が中心となる音楽は非常にセンスが悪く、下品なものとしてとらえた人もいたようです。

といっても、ヨーロッパのオーケストラでも音の大きさが重視されていて、音を大きくする効果は他の方法ではまねのできない方法でもあります。しかも、打楽器においては強いアタックが必要になるので、音が大きくなるのはどうしても避けられません。

日本の打ち込み音楽

現代ではコンピューターで音楽が作られるようになり、歌詞も生歌ではなく、口パクを行うようになりました。

実際に歌手がライブをすると声が小さく「こんなに迫力のないものだったの……」と驚く人もいるようです。

デジタル音楽プレーヤーで聞くことを主としているので、しかも、個人で楽しむことを前提としているので、大きな音や大きな声は必要がないのです。

声量が小さくてもいくらでも加工することができるのです。昔の音楽は音楽プレーヤーなどなかったので、ライブで聞くしかありませんでしたから。音楽を聴く形態が変化したからこそ、声の小さな歌手でも通用する時代になったのです。

しかも、軍隊音楽はアフリカの打楽器中心の音楽と似ていて、単純でリズミカルなものが多かったのです。そのため、リズム中心の黒人はヨーロッパで作り出された音楽も吸収することに成功しました。

軍隊音楽をきっかけにしてヨーロッパの複雑な音楽が入ってきたために、リズムや感情中心で単純なものと思い込んでいた黒人音楽。実は知らない間にかなりの技法を取り入れていたのです。

音楽の性質

サックス=ジャズという簡単な図式といっても結構深い訳があるのです。なぜ黒人音楽がアメリカで流行するようになったのか、その背景にはある歴史や、音楽の性質をゆっくり分析するとためになります。

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