文化系と思われているサックス。「吹奏楽なんて運動部に比べたら楽なものだよね」と思ってしまう人。その人の立場になってみなければわかりません。

誰だって自分が一番苦労していると思いたいものですが、サックスでも筋肉を使います。サックスと関係のある筋肉についてここでは見ていきます。

重くて疲れる

最もスタンダードなアルトサックスで2~3kgでサックスは、標準的な鉄アレイくらいの重さがあります。そのため、体でその重さを支えなければいけません。

重い物を持ち上げたまま演奏して立ちっ放しのため、体中の筋肉が疲れます。「吹奏楽なんて女の子のやるもので軽いもんだろう」と思っていたら大間違いです。

口の周りと表情筋

口の周りの筋肉をマウスピースを加えるのに使います。その他にも、口の周辺を筋肉で固めるアンブシュアをしっかりしなければいけませんから、口周辺の筋肉をよく使うことになります。

顔の周りの筋肉でも使わなければ、急に使うと痛くて動かなくなります。日頃から練習することによって筋肉が鍛えられていきます。顔の筋肉だけを鍛えても無意味です。練習で鍛えることです。

筋肉ではありませんが、サックスは息を吹き入れるものなので肺活量が必要になってきます。この肺活量を上げるには練習しかありません。

腹筋と背筋

サックスは直立の姿勢で吹く楽器ですが、腹筋と背筋のバランスが大切です。腹筋が弱いと後ろにのけぞってしまいますし、背筋が弱いと前のめりになってしまいます。

悪い姿勢でサックスを吹いているうちによけいな力が入るようになり、腱鞘炎になることもあります。姿勢の問題で指が痛くなるとは普通の人は考えつかないでしょうが、指のためには正しい姿勢でいなければならないのです。

筋肉痛の改善は自然治癒のみ

サックスの演奏は客観的に見れば重いものを持って立っているだけですから、練習しているうちに筋肉が痛くなります。この筋肉痛の改善を方法は実はありません。

とにかく、血行をよくすること。暖かめのお風呂に入ること。あとは自然に治るまで待つしかありません。そして筋肉痛になったからといって練習をやめてはいけません。

痛くても続けるしかありません。続けているうちに痛くなくなります。治ってくるうちに超回復といって以前よりも強い筋肉に変化します。

無理に湿布を貼ったり、何らかの方法で冷やすことをすると一時的に痛みはなくなりますが、また痛くなったり、筋肉がつかないことになります。

よけいなことはしないほうがいいでしょう。早く楽になりたい気持ちはわからなくはありませんが、無益な治療では楽になれないことになります。筋肉痛に治す方法はありません。

筋トレではなく演奏で鍛える

筋肉が足りないからといって、筋力トレーニングをしたりプロテインを飲んだり、レスリングをやりましょう、ということではなく、サックスの演奏に必要な筋肉はサックスの演奏でしか身につけることはできません。

サックスのために筋力トレーニングなんかわざわざする必要はなく、演奏しているうちに自然と筋肉がついてくることが好ましいのです。あとは、日常生活で重たいものを持ったり、運動不足解消のためのウォーキングをすればちょうどいいくらいです。

科学の進んだこの時代でも、野球選手でも筋肉の意味がわからない人が大勢いて、肉体改造といってムキムキな体にしようとする人がいます。トレーニングジムでつけた筋肉は野球をするための筋肉ではなく、人に見せるためだけの中身のない筋肉です。だから、すぐに故障してしまいます。

野球もサックスも同じで、確かに筋肉がサックスには必要ですが、演奏で自然に身につけることを心がけましょう。筋肉と練習はセットで考えることが大切です。

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