サックスが使われているオーケストラというのはあまり馴染みがないかもしれません。
サックスは1846年にアドルフ・サックス氏によって特許が出願された楽器です。割と近年に誕生しました。クラリネットも割と歴史が浅いと言われていますが、それでも18世紀初頭には登場しています。交響楽の父と呼ばれる、ハイドンが生きていた時代にサックスという楽器が存在していたなら、きっと数多くの名曲を残したに違いありません。できればその出会いを果たして欲しかったとも思いますが、すれ違ってしまった以上仕方ありません…。
確かにサックスは他の管楽器に比べて歴史の浅い楽器で、ジャズやポップスなどに使われる印象が強いのですが、クラシック曲がないわけではありません。
例えば有名なラベルの「ボレロ」は、各パートごとのソロが展開され壮大なクライマックスを迎えるバレエ音楽ですが、ここにもちゃんとアルトサックスやソプラノサックスなどが使用されています。また、ガーシュインの「ラプソディ・イン・ブルー」でもサックスのきらびやかなソロが入ってきます。ガーシュイン自体が近・現代音楽の作曲家だということもありますが、この曲は立派なオーケストラで、難解な曲が多い現代音楽の中では割と気軽に楽しめる音楽となっています。
モーツァルトやベートーヴェンといった数多くの交響曲を残している作曲家達の時代は、オーケストラといえばやはり弦楽器が主体。大人数が集まればそれなりに音量も出ますが、弦楽器は割と繊細な音色が特長です。そこに近代に誕生した、野外でも音の鳴りが響くという改良が施されたサックスという楽器を無闇に投入してしまうと、サックスの音だけが際立ってしまい、オケとしての魅力が半減してしまうということもあるでしょう。なかなか、マイルドにブレンドする、というわけにはいかないようです。ただ、古典的なオーケストラに入れるのは難しいけど、現代的なオーケストラに効果的に入っている曲なら、違和感なく聞き入ることが出来ます。
弦楽オーケストラにはサックスを使用した曲がないわけではなく、少ないということです。オケにはオケの、古典には古典の、現代には現代の魅力がありますから、いろいろな音楽を聴いてみてはいかがでしょうか。
吹奏楽にはもちろんよく使用されますし、東京スカパラダイスオーケストラが代表的な「Ska」ジャンルでも活躍していますね。スティングのイングリッシュマン・イン・ニューヨークでも、ソプラノサックスが非常に印象的なソロを演奏しています。
様々なジャンルの中で、自分の好みにしっくりと合う音楽性と出会えることでしょう。
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