サックスで出る音は演奏者によって異なります。その内容は倍音の組み合わせによって決定されます。
実際に出している音と、頭の中に思い描く理想の音では異なるのが普通です。理想する音と、自分の出している音との差を受け入れて、その差を縮めることが上達するための必要条件だといってもいいでしょう。
いろんな音に触れる
自分の自分の出している音を録音して聞いてみると良いでしょう。そして、やさしい音を出したいと思った時には、やさしい音をイメージするとやさしい音が出る、といったような物理学上、説明のつかない部分もあります。
また、他人の演奏を聴いて音の具体的なイメージを作っていくことも必要です。頭の中にない音を具現化しようとしても、なかなかできるものではありません。
古い時代の音楽も上達のために聴き比べてみてもいいでしょう。確かに現在のほうがテクニックは上ですが、古い時代は演奏者個人の技量がかなり高いので参考になる部分も多いでしょう。
時代によって音楽の考え方も違います。好きなものばかり聴くのではなく、聴いたことのなかった音を聞いて、その音をイメージして自分で作り出すといった積極的な態度も上達には必要です。
1920年代
1920年代は、サックスが音楽業界に現れてまだ間もない時期。この頃から次第にメジャーなものとなってきました。そして中心となっている音楽ジャンルはジャズです。
ビブラートを多用する音楽が特徴で、マウスピースはオープニングが狭く、激しく息を入れる傾向はありませんでした。今のようにサックスは中心ではなく、目立つ存在ではなく、バンドの中で暗めの音楽を担当するような楽器でした。
1940年頃
この頃になるとサックス役割は多様化してきます。クラシックでもサックスが教育の面で取り入れられるようになりました。この頃から技術的にも大きな進化を遂げています。
セルマーというサックスの有名メーカーがテーブルキーの操作性を格段に上げたモデルを発売しました。サックスの操作性が上がり、今までになかった演奏ができるようになりました。
海外でもサックスを学ぶ学科ができたりして、サックスのみの四重奏などというものも現れました。
ビックバンド系でダークな音色を担当していた地味な立場から、少人数編成でサックス中心の音楽に変化してきた時代ともいえます。演奏者の個性を表現できるようになり、個性的な音を出せる時代に移行しはじめました。
1960年頃
この頃になるとロック音楽が世界中を席巻します。そしてエレキギターに代表される音楽が流行し、これらの音楽のサックスは取り入れられるようになりました。
ジャズやクラシックだけではなく、ロックやR&Bには相性がいいことも理解され、サックスはさらにその人気を集めてきました。
1980年頃
1980年代は、さまざまな音楽ジャンルが市場を席巻しました。サックスの演奏者が増えて技術も格段に上がりました。ジャンルを問わず、サックスが取り入れられるようになりました。
ロックやフュージョン系と呼ばれるジャンルでは、マウスピースの内部の容積を狭くしたハイバッフル系マウスピースが登場しました。
明るく派手な音が流行し、使用される楽器やマウスピースなどの進化が着実に進んできた時代でもあります。それが音楽にはっきりとあらわれるようになってきました。
多彩な音に触れる
良い音をサックスで出したいなら、あれこれ考えるよりも、たくさんの音に触れることが大切です。そして今、私たちの持っているサックスは、たくさんの歴史が積み重なってきたものです。
音楽の歴史を学び、音楽の変化に触れてさまざまな音に触れることにより、多彩な音がイメージできるようになります。頭の中だけにあった漠然としたイメージを、サックスを使ってはっきりとした形にすることができるのです。
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