吹奏楽ではサックスがありますが、オーケストラには採用されていません。オーケストラにサックスが使われない理由は何かあるのでしょうか。
オーケストラに採用されにくいサックス
弦・管・打楽器で構成されるオーケストラ。吹奏楽にあるのにオーケストラない楽器の代表は、サックスとユーフォニアムです。
基本的にオーケストラではサックスはあまり使用されることはありません。禁止されているわけではありませんが、どういうわけか、昔からサックスはオーケストラになかなか入れてもらえない楽器ということになっています。
その理由としては諸説あり、確定したものはありません。
- 「パリのアメリカ人」ガーシュウィン
- 「アルルの女」ビゼー
これらの楽曲では、オーケストラでもサックスが採用されています。
クラシックで使用されにくい理由
もともとクラシックは、形式を重視する音楽で、オーケストラの他の楽器と調和する必要があります。
サックスでは、個性が発揮されやすく、他の楽器と調和しにくく、オーケストラ全体の演奏を壊してしまうおそれがあります。
そのために、クラシックで使用されにくい、という見解があります。
オーケストラができた時点でサックスが存在していなかった新しい楽器のため、オーケストラに入れてもらえない、と指摘する人もいます。数は少ないですが、サックスを使用する楽曲もたまにあります。でも、それほどメジャーではありません。クラシック業界ではサックスはまた信用ならない楽器の一つ、という扱いを受けています。
まだまだエンタメ性が強い楽器と扱われている模様です。
ジャズとクラシックで求められる音が異なる
ジャズとクラシックでは要求される音が異なります。
サックスはもともとジャズ用に設計されているのが基本で、演奏者の感情や個性を最大限に発揮できるように設計されています。このように個性の強いサックスのことをテーパーが強いサックスと表現します。雑音やくせのある音も個性として許容されます。
クラシックの演奏では、ジャズのように自由度が高いわけではありません。他の楽器との関係でまとまりがよく、きちんとコントロールすることが要求されます。テーパーの緩やかなサックスと表現されます。音が正確で、直管に近く円すい形の管をしています。
マウスピースの違い
ジャズ用とクラシック用ではマウスピースの構造上大きな違いがあります。
ジャズとクラシックが根本的に違う考え方を持っていますがマウスピースにも違いが現れています。ジャズ用はマウスピースの空間内部が広くなっています。壁が薄くなることによって、演奏者の音を強調する形になっています。ジャズの演奏は演奏者の個性を強調したり、感情を表現するのが中心となります。
形式をしっかり守るオーケストラでは音はまとまらず、全体のバランスを崩してしまいます。
その一方で、クラシック用のマウスピースは内側が狭くなっていて、演奏者の個性が出しにくい形になっています。マウスピースの内部が狭くなっているために、まとまった音が出やすくなり、オーケストラやクラシックに合わせやすいように作られています。
マウスピースを変えることで音色が変化します。クラシックを演奏するときジャズを演奏するときには使い分けることができます。
ソプラノサックスではクラシック用のマウスピースが好まれる傾向があります。
曲に合わせてマウスピースを交換する人もいます。吹込管の先にはコルクがついていますが、いろんなマウスピースを接続できるようになっているのです。
クラシックでは中途半端な感が
サックスがオーケストラに採用されない理由を考えてみると意外と参考になります。まだまだクラシックには相性が悪い傾向があります。一方で吹奏楽ではちゃんと存在感があって、中途半端な立ち位置にいる状況です。
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