サックスは人気のある楽器ですが、なぜかオーケストラには採用されていません。人気のあるサックスがなぜオーケストラに採用されないのでしょうか。その理由を考えてみます。

オーケストラができた時期になかった

オーケストラという形式で音楽が演奏されるようになった時、サックスは存在していませんでした。オーケストラのほうがサックスよりも早く生まれています。そのため、歴史的にサックスが採用されてこなかったことと思われます。

相性が悪い

歴史的に生まれるのが遅かったからといって、それだけが理由になるわけではないでしょう。楽器自体の評価が高ければ楽器の生まれる時期が遅くてもオーケストラで採用される可能性はあるからです。オーケストラという形式では、サックスの相性はよくないのです。

サックスの採用されなかった歴史を確認する前にオーケストラの性質を考えましょう。オーケストラの性質を考えることで、サックスの性質と合わないことがわかります。楽器には歴史がありますからその歴史をたどってみるとわかりやすいかもしれません。サックスとオーケストラとの相性の悪さをみていきます。

弦楽器が中心でサックス必要なし

オーケストラの中心は弦楽器です。サックス対応の楽器はあまり必要とされていません。弦楽器との組み合わせがよくなく、オーケストラでは採用しにくい存在です。

オーケストラの歴史は楽器の淘汰

オーケストラの形は新しい楽器が出現し、どんどん付け足されたというものでもありません。オーケストラに採用されるためにはそれ相応の厳しい条件を楽器が満たす必要があります。時代背景や楽器の完成度、大衆の人気、楽器の製造業者等、さまざまな要素が絡み合っていて、生き残った楽器がオーケストラに採用されているのです。この厳しい選別でサックスは負けてしまったということです。

ソプラノサックスを比較しても哀愁のある音を出せる点と。オーケストラでは実績を考えると、わざわざアルトサックスに変更する必要はありません。

音質がもっさりして合わない

オーケストラでは歯切れのよい音が好まれます。サックスのようにもっさりしていた音はオーケストラには合いません。サックスはアタック感がそれほどないので、オーケストラのイメージから離れます。無理やりサックスを採用したとしても、もともとある楽器で十分ということです。

ソプラノサックスと比較しても哀愁のある音を出せる点と。オーケストラでは実績を考えると、わざわざサックスに変更する必要はありません。

個性が逆にミスマッチ

サックスは演奏者によって出る音が違います。演奏者の個性が全面に出て形式ばったオーケストラには調和しません。オーケストラは演奏者の自由気ままな演奏を許しません。サックスのような自由度の高い楽器はもともと合わないのです。だからといって、サックスで個性を殺すと、全く魅力のない楽器になってしまいます。わざわざサックスを採用するのなら、もともとある楽器で十分ということになってしまいます。サックスは個性的でオーケストラのような楽器全体の調和は大切とされるものには採用しにくいのです。

ビッグバンドの音色、ポップスのイメージで重厚さがない

サックスの音を聴いて思い浮かぶのはビッグバンドやポップスなど軽い大衆音楽のイメージが思い浮かんでしまいます。重厚なオーケストラには雰囲気が合いません。せっかくのオーケストラの格調高さがぶち壊され、聴衆も引きしやすいのです。

楽器が完成されてない

サックスはまだ発展途上の楽器です。オーケストラに加えられるほどの信頼を持っていません。まだまだ不安定な楽器です。20世紀の初頭から半世紀の間でも楽器の変更は再三にわたってなされています。楽器自体が変化すれば音質は変わります。楽器としてまた完成されていないのでオーケストラに加えるわけにはいきません。

有名な楽団でも採用していない

有名な楽団や作曲家もサックスにはそれ程の思い入れはありません。全くインパクトも実績もまだ足りていないのです。

まずオーケストラには合わない

サックスの魅力を全面的に出すと考えるのならオーケストラでは使いにくいということです。無理やりオーケストラで採用しても、全体の調和を乱すだけ。しかもサックスと特徴である個性もなくなってしまうので、ふんだりけったりの状態です。

しかも、不安定でこれから変更なされる楽器です。オーケストラに入るためには完成されたものでなければいけないのですが、クラシック界から信頼されることはまだまだ先でしょう。よほどの歴史の変化でもなければサックスがオーケストラに入ることはほとんど考えられないといってもいいでしょう。

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